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焚き火の神様②

  あの声を聞いてから、すでに30年以上が過ぎ、大きな地主だった実家も今では都市開発の波に飲み込まれてほとんどの土地を手放している。
  焚き火をする場所を失った私はいつしか焚き火の神様の存在も、あの声も思い出さなくなっていた。
  ところが、ある年の春。まだ頂上に雪が残っていた頃。登山のベースキャンプにするために麓のオートキャンプ場を訪れた時、たまたま隣り合わせた年配キャンパーの焚き火を目にした。
  オートキャンプの人たちの中には、ただ燃やせば良い。といった感じの焚き火をする人も多いので、あまり興味をそそられないのだが、私が生まれる前からずっとキャンプ暮らしをしているという彼の焚き火には何とも言えない「美しさ」があった。
落ち葉
  むやみに薪をくべることなく
  むやみに燠をいじることなく

  大きく火柱が立つこともなく
  また、炎が消えることもなく

  淡く優しい炎が、たった二本の薪の間をゆらゆらと揺れながら、ゆっくりと燃えつづけている。

  一瞬、炎が消えてしまっても、うちわで扇ぐようなことはしない。
  女性の耳元で愛の言葉を囁くように優しく息を吹きかける。それだけで燠はポッと赤く染まり、再び炎が立ちはじめる。やがて薪は炭に変わり、炭は白い灰に変わって静かに消えていく。

  それはまるで、ロシアの文豪が描いた恋愛小説を読んでいるような心地だった。

  もしも、こんなに美しい焚き火をすることができたなら、焚き火の神様は、ふたたび私に話しかけてくれるのではないだろうか?
  そして、今度はどんな言葉をかけてくれるのだろうか?
  私はいても立ってもいられず、見ず知らずの年配キャンパーに、焚き火のご教授をお願いした。
  彼は笑いながらも私を迎えてくれ、夜が更けるまで、二人で焚き火について語り合った。

  その日から私は、焚き火の世界にとっぷりハマった日々を過ごしている。

  いつかもう一度、焚き火の神様に出逢えるように・・・。




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